スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~
「練習場所はどうします?テニスコートを借りられます?」
地域のテニスコートは多くが予約制だ。今から申し込みしても既に予約は埋まっている。
スポーツクラブなどで練習場所を借りる手もあるが、そう都合よく空きがあるだろうか。
「練習場所には当てがある。心配しなくていい」
……どうやら早速コネを使う気らしい。
テニスコートと練習時間の問題が解決したら、次はテニスをするための道具だ。
「ラケットは持っていますか?」
「持っていない。テニス用品に限らずスポーツ用品はほとんど持っていないな」
光莉は信じられない気持ちで一杯になった。自室では中高大の部活動で作った学校名入りのジャージを部屋着として愛用している光莉とは真逆だ。
確かにテニスはズブの素人でだと自分でも言っていたけれど、スポーツ用品すら持っていないのか?
瀧澤の身体には弛んだところひとつなく、パッと見た感じではそこそこ引き締まっている。ジムにすら通っていないとすれば、天性の体質か、日頃の節制の賜物だろう。