スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~
(正直、すごく勉強になりました……)
光莉はあの日、美は一日にしてならずということを嫌というほど思い知った。
最近は露希から教えてもらった小顔マッサージをしたり、もらった美容液を塗ったりと自分改革に勤しんでいる。
体育会系のノリが染み付いている光莉にとって、コーチの言うことは絶対だ。
与えられた課題があれば粛々とこなすのは当然だ。
目下の問題は露希からもらった映画のペア鑑賞券だ。
一人で二回見に行けば鑑賞券自体は無駄にならないが、誰と見に行ったのかと詰め寄られたら誤魔化せない気がする。
鑑賞券の行方について考えていると、瀧澤が信号待ちのタイミングで唐突に切り出した。
「露希のことを悪く思っていないなら、露希が主演の映画を見に行かないか?ペア鑑賞券をもらったんだが、ひとりだと一枚持て余してしまう」
映画のタイトルを聞くと、光莉がもらったものと全く同じだった。
「あのう……。実は私も露希さんから同じ映画のペア鑑賞券を頂いておりまして……」
「それならちょうどいい。私のチケットを使おう。君の分は誰かに譲ればいい」
「それは……」
デートに誘うためにもらった鑑賞券なのに譲ってしまっていいのだろうか?ズルをしているような気がして、断ろうと思った矢先に、瀧澤がさらに続けた。