スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~
「殿上人とそのお付きの女官が天から降りてきたって話」
遊佐は瀧澤と中野をそう揶揄すると、顎をクイと行列に向けた。
「瀧澤専務?社食にも来ることがあるのね」
柳瀬の声が大きかったのか、クルリと中野がこちらを振り返った。勝ち誇ったように口角を上げると、ふんっと澄ましたように再びに向き直っていった。
「うわ!中野に睨まれちゃった。さーいーあーく!」
「お前ら本当に犬猿の仲だな?中野さんってそんなに嫌な奴だったっけ?」
柳瀬はずるずるとラーメンを啜りながら、ジト目で遊佐を睨んだ。
「そりゃあ、海外事業部のエースであるあんたにはおべっか使うでしょうよ。あの女、専務付きの秘書になったからって他の女は全員まとめて格下だと思ってるのよ。いつか、絶対ギャフンと言わせてやる!」
「ギャフンって……語彙が昭和かよ」
「あははっ。柳瀬さんすごいなあ!」
柳瀬は負けず嫌いな上に喧嘩っ早い気の荒いところがある。柳瀬ならいつか本当に中野にギャフンと言わせられそう。
「なーに言ってんのよ!光莉ちゃんだって他人事じゃないのよ?あの女に専務を取られていいわけ!?」
急に話をバトンタッチされ、光莉は面食らった。