スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~

「次に同じことしたら、本気でぶちますからね」
「はいはい。ごめんよー」

 昼食を終えるとトイレに寄るという柳瀬と別れ、法人営業部に戻るべく遊佐と二人で廊下を歩く。怒りがまだ収まりそうもない光莉に対して、遊佐はどこ吹く風。

「出水ちゃんさあ、瀧澤さんに上海土産もらったでしょう?」

 光莉はギクンと肩を揺らした。なぜ、遊佐があのローズルージュのことを知っているのだろう。
 
「な、なんのことでしょう!?」

 やましいことしかない光莉はしらばっくれるしかなかった。

「瀧澤さんが女性にお土産を買うなんて珍しいと思ったんだよね。まさか、出水ちゃんに渡すつもりだったとは俺も思ってなかったけどね。メイクを変えたのもそのせい?」

 光莉が瀧澤にテニスを教えていたことは、法人営業部の間では周知の事実だ。サンライズホテルグループとの契約における影の立役者だということは広く知られている。
 瀧澤からお土産くらいもらっていてもおかしくはないだろうが、深い関係を匂わせるものは少ない方がいい。
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