スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~

「報告は以上です」
「次」
「はい!」

 隣の席の生産管理部からの報告が終わり、光莉の順番が回ってくる。
 光莉はその場に起立すると、用意していた報告資料を手に取った。
 今日は定例の進捗報告会議だ。二週間に一度、互いのタスクの進捗を報告しあい問題があれば、瀧澤から鋭い指摘が入る。

「十八階から二十二階のダブルルームに置くテーブルセットですが、全数揃いました。関東倉庫から配送され、本日湾岸倉庫に到着の予定です。それから、十五階のバンケットルームの……」
「ちょっと待て」

 瀧澤は光莉の報告を途中で遮った。指摘が入るようなおかしなところはないはずだけれど……。

「ダブルルームは二十三階までだぞ」
「え!?確か資料には……!」

 光莉は急いでプリントアウトしてきたホテルの概要図をめくった。ダブルルームの階数は確かに二十二階までと記載されている。

「三週間前、フロア構成が変更になると通達をしたはずだが?」
「はい、ですから通達された通りに……」
「遊佐、お前も担当者だろう?どういうことだ?」

 光莉では話にならないと、瀧澤は遊佐にその矛先を変更した。遊佐はすぐに椅子から立ち上がった。

「申し訳ありません。すぐに確認します」

 会議が終わった後、遊佐と光莉は互いの持つ情報を確認しあった。
 その結果、光莉が参考にしていた資料が古かったことがわかった。
 頭が真っ白になっていく。
 光莉はこの資料をもとに、必要な在庫を確保していた。ということは二十三階分のダブルルームについては手付かずということだ。

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