スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~
「二十三階は部屋ごとにテーブルセットを変える。これまで販売してきたテーブルセットを置くことで、TAKIZAWAの歴史とデザインの変遷を感じてもらうのが目的だ。安西会長には既に許可をもらっている。間に合うならやってみろと。他に質問は?」
瀧澤にこれ以上意見するものはいなかった。
瀧澤の意図を理解したら、着替えを借りて早速作業に入る。修理の対象となるテーブルセットは比呂人の手により、既に選り分けられていた。
率先して作業に取り組むのは瀧澤と比呂人だ。二人にとってインテリアの修理作業は慣れたものだ。
光莉や遊佐を含めた素人は二人の指示を聞きながら、塗料を塗ったり、テーブルを磨いたりと細かい仕上げ作業を行う。
なんとしてでも船便の出発に間に合わせるため、日が暮れても作業は続けられていく。県道の外れの山中にあるアトリエの周囲に民家はない。夜間に作業を行っても近所迷惑にはならない。
「手伝ってくれてありがとうね、出水さん」
「いいえ!比呂人さんには本当にご迷惑をお掛けしているので……」
昼からぶっ続けで作業していたため、夕食後に小休憩を取ることになった。
しかし、光莉は家主の比呂人と一緒に布団の準備をしていた。
この日は全員比呂人の一軒家の空き部屋に布団を敷いて、雑魚寝する予定だ。二人は布団とシーツを畳の上に次々敷いていった。まるで部活の合宿所のようだ。