スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~

 お見合いの当日。
 光莉は指定された時刻にサンライズホテルへやって来ていた。
 この日の装いはおろしたてのサーモンピンクのワンピース。
 着替えをしようとクローゼットを開けた時、瀧澤に買ってもらったレモンイエローのドレスが恨めしげに光莉を睨んでいて、後ろめたい気持ちになりながら袖を通した。

 お見合いは一階にある藤の間で行われるらしい。
 待ち合わせの時刻まで時間があったので、ロビーでぼうっとしていると、見覚えのある三揃いのスーツが立ち塞がった。

「出水さん」
「瀧澤専務?どうしてここに……!?」
「あちらは夫婦揃って来られるのに、こちらは君ひとりだけというわけにもいかないだろう?」

 つまりは、光莉の両親の代わりにお見合いに同席するつもりらしい。体裁を整えるためとはいえ、何を考えているのだろう。瀧澤の思考は光莉には読めなかった。
 瀧澤の端正な横顔を盗み見ていると、来てくれて嬉しいという気持ちと、来ないで欲しかったという気持ちがごちゃ混ぜになる。

(好きな人に見守られながら見合いをするってどういう状況?)

 いっそのこと、すぐに次の男を漁る尻軽だと罵ってくれた方がまだマシだ。瀧澤はあの日逃げ出した光莉をどう思っただろうか。

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