スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~
「それにしても、たくさん種類があるんだな……。一体、どれを選べばいいのか……」
瀧澤をラケット売り場を仰ぎ見て途方に暮れていた。この店だけでも何十種類というラケットが販売されているので無理もない。
「そうですね。瀧澤専務は長身ですし、男性用の重めのラケットでいいと思います。初心者のうちはガットの中心に当たらず打ち損ねることも多いので、面が大きくてフレームが厚いものがお勧めです」
「なるほど」
「売れ筋だからといってプロテニスプレイヤーと同じモデルのラケットなんて買っては駄目ですよ!」
光莉は品出しをしていた店員に聞こえないようにこっそり注意した。
ラケットコーナーの中心には『安西征也モデル、当店の一番人気!』と特製のポップがついたラケットがデカデカと展示されている。
安西征也選手は今のりにのっているプロテニスプレーヤーだ。昨年は四大大会のひとつ全豪オープンで準優勝。今年は優勝も期待されている。日本テニス界を背負って立つ存在だ。
店頭で売られているのはスポンサーとなっているメーカーが販売している市販品だ。プロと同じラケットを使っているという満足感は味わえるが、テニスが上手くなるとは限らない。