スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~


(思っていたより話しやすい人、なのかも……?)

 瀧澤とは初めてまともに会話をしたが、意外に優しかった。光莉の話すことにはちゃんと相槌をしてくれたし、高圧的な態度もされなかった。
 一年前、専務に就任したばかりの瀧澤のプライベートは未だに謎に包まれている。
 巷では仕事にしか興味がないという噂だったが、テニスに関しては熱心に取り組もうとする姿勢が随所に見られて好感が持てた。

「それにしても凄いことになったなあ……」

 帰宅後、光莉がシャワーを浴びてひとり呟いていると、早速瀧澤から土曜の朝九時に山手線の某駅の駅前ロータリー集合だと、メッセージが送られてきた。

「おっとこうしちゃいられない!」

 光莉は「わかりました」と返信すると、クローゼットの中に入れっぱなしでサボり気味になっていたラケットの手入れをいそいそと始めたのだった。

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