スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~
それからはひたすら練習の日々が始まった。
瀧澤は忙しい合間を縫うように練習に取り組んだ。
瀧澤の練習に取り組む姿勢は優等生そのものであり、どちらかといえば練習よりも、予定のすり合わせのほうに苦労した。
多忙な瀧澤の空き時間を見計らうようにして練習を行うため、当日の朝にレッスンの打診が来ることもあった。
土日は槙島家のテニスコート、平日の夜は会社近くのテニスコートでひたすら汗を流した。これは槙島家のテニスコートには照明がないためである。
苦労の甲斐もあり瀧澤はメキメキとテニスの腕を上げた。
レッスンを開始して一ヶ月が経つころには光莉とラリーが出来るようにまで成長した。もう木にボールを打ち上げる心配もほとんどなくなった。
……本音を言えば少し残念だ。
(そろそろかな?)
サーブを見事に決める瀧澤を見て、光莉は次の段階に進むべき時がついにやって来たと確信した。