スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~
「もしもし、奈緒?ちょっとお願いがあるんだけど」
接待テニスの日が二週間後に迫ったこの日、光莉は大学時代にダブルスを組んでいた松阪奈緒に電話を掛けていた。
「テニスの練習に付き合ってくれない?うん、今教えている人がいて……」
テニス漬けの日々を送ってきた瀧澤は基本的なプレーこそ形になってきたものの、肝心のダブルスの練習がまったく出来ていない。これは由々しき問題だった。
しかし二人だけでダブルスの練習をするにも限界がある。ということで奈緒に経緯を説明し、協力を募ったのだった。
『いいよー。そのイケメン専務の顔をしかと拝ませていただく!』
レッスンへの参加を快諾した奈緒の声は弾んでいた。不純な動機を隠しもしない奈緒に光莉は呆れていた。
「そんなこと言って……。理一くんに怒られないの?」
理一は奈緒の彼氏で、現在は広島でプロのサッカー選手として活躍している。二人は大学生の頃から付き合っているので、交際も長いもので七年目に突入している。結婚も秒読みという話だ。
『それはそれ、これはこれ。目の保養は別物でしょ?』
心配する光莉を尻目に、奈緒は持論を展開していくのだった。