スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~
「本日はご足労頂きありがとうございます。瀧澤です」
約束の日曜日。
槙島家の屋敷にやってきた奈緒は待ち受けていた瀧澤を見るなりあんぐりと口を開けた。
光莉の腕を引っ張り瀧澤に聞こえない位置まで離れると、コソコソとやり取りする。
「ちょっと光莉!超絶かっこいいんですけど!おまけに専務なの!?推せるじゃん!」
「……言うと思ったよ」
奈緒は昔から顔が整っている男性には目がない。コーヒーショップの店員、通っている美容院の美容師、身近にいる男性たちを密かに応援するのが趣味だ。
本人曰く、『好き』とは違う『推し』という感情なのだとか。
どうやら瀧澤も奈緒のお眼鏡にかなったらしい。
奈緒はクルリと瀧澤に向き直ると、ニッコリと微笑みかけた。
「光莉の大学時代にダブルス組んでました!松阪奈緒です!今は高校で体育を教えています!こちらこそよろしくお願いします!」
挨拶もそこそこに三人は早速練習を始めた。
今日は本格的なダブルスの練習だ。前衛は瀧澤、後衛が光莉だ。二対一となるが、奈緒なら問題ない。シングルスはさっぱりの光莉とは違い、ふざけた性格でも奈緒はインカレで表彰台に上がるほどの実力者だ。
なぜダブルスを組まされていたのか、不思議なくらいだ。