スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~
「瀧澤さん!行きますよ!」
奈緒が合図を出し、瀧澤に向かってショットを放つ。本来、対戦相手がわかりやすく声を掛けてくるはずがないが、練習なのであえて瀧澤にボールを向ける。
「瀧澤専務、右です!そう!」
背後から光莉の助言を受けた瀧澤のボレーは見事相手コートのサイドラインをかすめていった。
「ナイスボレー!」
光莉はネット際に駆け寄り、瀧澤に声を掛けた。
初めてのコンビプレーだったが、すんなり上手くハマった。上出来、上出来!
「余裕で届くと思ったのに結構ギリギリだったな……」
自分に厳しい瀧澤は辛口評価だ。確かにあと半歩遅かったら、ラケットはボールに届いていなかっただろう。
「大丈夫ですよ!打てなくても後ろでフォローしますから」
「”スタミナモンスター”の名は伊達じゃないもんね」
「ああ……。それ、ね……」
いつの間にか奈緒も反対側のコートからやって来ていて、さらりと光莉の黒歴史を暴露した。
「スタミナモンスター?」
不思議そうに尋ねる瀧澤に、奈緒は嬉々として語った。