スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~
「どこに打ってもボールを追っかけて打ち返してくるんで、対戦相手からそう呼ばれて恐れられてたんですよ」
「やめてよう……。ちっとも可愛くないあだ名なんだから……!」
「でも、そのスタミナのおかげで国体もインカレだって優勝できたじゃん」
「そうだけどさあ……」
スタミナがあるのは自慢だけれど、それ以外に誇るところがないみたいで嫌!
このあだ名のせいで他の大学の選手からはイロモノ扱いされるし、あまり良い思い出がない。
「瀧澤さん、この子とダブルスを組んだのは正解ですよ!光莉は他人のためならいくらでもパワーを発揮するタイプなんです。いくらでもこき使ってください!」
奈緒はそう言うとぐいと強く背中を押し、どうぞどうぞと、光莉を瀧澤に差し出した。
「ちょ、ちょっと!奈緒!?」
身体がつんのめり、意図せず瀧澤の胸に飛び込んでしまう。呼吸や体温さえ感じることのできる至近距離に、光莉の心臓がおおいに暴れ出す。
「大丈夫か?」
「す、すみません……!」
光莉は慌てて瀧澤から離れた。
汗ばんだウェアの下のがっしりとした胸板の感触に、動揺を隠せなかった。
「うん!お似合いじゃん!」
「奈緒!」
咎めるように名前を呼んだが、奈緒は意に介さずご機嫌でサービスラインまで戻って行った。