スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~
その後も、いくつかコンビネーションプレーを練習していく。
試合の組み立てを行うのはもちろん光莉だ。瀧澤が光莉の指示通りに動けるように、コンビネーションを鍛えるのが奈緒を呼んだ目的だ。
ダブルスの陣形に慣れてきたら、プレー中に使う合図を決めることにした。
熟練のペアとなるとサインなしでも動けるけれども、今回は急造ペアということ分かりやすいサインが必要だった。
三人はドリンク休憩がてら、サインについて話し合った。
「私が『イン』っと叫んだら、瀧澤専務はセンターラインに寄ってください」
「ねえ、それじゃさすがにモロバレじゃない?別の呼び方にしたら?」
わかりやすい方が良いと思ったが、単純すぎると奈緒から物言いがついた。
「どんな呼び方ならいいんだ?」
「なんでもいいですよ。好きな食べ物とか、地名とか……」
奈緒がそう答えると瀧澤は少し考えた末にある名称を口にした。
「じゃあ、『トルテ』にしよう」
「あ、いいですね!それなら私にもわかります」
「なにそれ?」
光莉も瀧澤に賛同し、奈緒ひとりだけが蚊帳の外になる。
「TAKIZAWAで販売しているインテリアのシリーズ名だ」
「ああなるほど!それは二人にぴったりだわ」
理由を説明されると奈緒も納得したようだ。