スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~
「シャワー付きのゲストルームまであるなんて、至れり尽くせりの環境だね」
「本当だよね。私も最初は驚いちゃった」
練習終了後、ゲストルームに戻ってきた二人は交代でシャワーを浴び、ミニ冷蔵庫で冷やしておいたドリンクを飲みながら、贅沢な環境のありがたみを噛み締めていた。
最初は恐る恐る部屋の物を使っていたが、毎週通っている内にすっかり慣れてしまった。
槙島が勧めてくれた通り、着替えやタオル、化粧水などいくつか私物も置かせてもらっている。
「ねえ?あれだけ一緒に練習していたら、恋愛に発展しないの?」
出し抜けに尋ねられ焦った光莉は思わずドリンクを床に零しそうになった。あぶなっ!
「まっさか~!あるわけないじゃん!」
普通の男性ならともかく、相手は瀧澤だ。そもそも格が違い過ぎて、好きという感情を抱くこと自体がおこがましい。
「光莉って斗真以来、彼氏いないでしょ?そろそろ恋人作ってもいいんじゃない?」
「恋人作れって言われても……」
恋人なんて作ろうと思ってすぐに作れるものでもない。なぜ急にそんな無茶振りをしてくるのだろう。
「グループメッセージ……光莉も読んだでしょ?」
奈緒は苛立ちを隠そうともせず、光莉に尋ねた。唐突な奈緒の言動にようやく合点がいく。