スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~
「ゲームスタート!」
邸宅の使用人が審判となり、ゲーム開始を高らかに宣言する。
コイントスの結果、サービスは会長夫妻から始まった。
安西会長がやや低めのトスから、綺麗なスライスサービスを繰り出す。
対する瀧澤だが、構えていた位置よりもセンターライン寄りにサービスがきたので体勢を崩してしまったが、それでも相手コートに打ち返すことが出来た。
(おお!瀧澤専務、ちゃんとレシーブ出来てる……!)
瀧澤は本番に強いタイプらしい。
瀧澤が見事な返球を見せたら、今度は光莉の出番だ。甘い球が返ってきたので、正確にコースを狙う。
「15-0!」
光莉のショットが見事コーナーに決まり、最初のポイントがTAKIZAWAチームに入った。
「練習の成果、出てますね!」
二人はハイタッチして、互いの活躍を称え合った。
その後、試合は一進一退の攻防が続いた。
二ヶ月の猛特訓を乗り越えたとはいえ、瀧澤はまだテニスを初めてまもない素人だ。会長夫妻はそれとわかると容赦なく瀧澤ばかりを狙ってきた。この辺りの老獪さは大企業の会長故なのだろう。
しかし、光莉も負けていなかった。
現役時代の動きからは鈍っているものの、豊富な運動量と巧みなフットワークで瀧澤をカバーし、その上で有利な戦況を作り出していく。