スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~

「ゲームスタート!」

 邸宅の使用人が審判となり、ゲーム開始を高らかに宣言する。
 コイントスの結果、サービスは会長夫妻から始まった。
 安西会長がやや低めのトスから、綺麗なスライスサービスを繰り出す。
 対する瀧澤だが、構えていた位置よりもセンターライン寄りにサービスがきたので体勢を崩してしまったが、それでも相手コートに打ち返すことが出来た。

(おお!瀧澤専務、ちゃんとレシーブ出来てる……!)

 瀧澤は本番に強いタイプらしい。
 瀧澤が見事な返球を見せたら、今度は光莉の出番だ。甘い球が返ってきたので、正確にコースを狙う。

「15-0!」

 光莉のショットが見事コーナーに決まり、最初のポイントがTAKIZAWAチームに入った。

「練習の成果、出てますね!」

 二人はハイタッチして、互いの活躍を称え合った。

 その後、試合は一進一退の攻防が続いた。
 二ヶ月の猛特訓を乗り越えたとはいえ、瀧澤はまだテニスを初めてまもない素人だ。会長夫妻はそれとわかると容赦なく瀧澤ばかりを狙ってきた。この辺りの老獪さは大企業の会長故なのだろう。
 しかし、光莉も負けていなかった。
 現役時代の動きからは鈍っているものの、豊富な運動量と巧みなフットワークで瀧澤をカバーし、その上で有利な戦況を作り出していく。

< 42 / 198 >

この作品をシェア

pagetop