スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~

 試合の後は着替えて、用意してもらった軽食を食べた。一緒にお酒も入ると、男性陣は小難しい仕事の話で盛り上がっていた。
 試合では八面六臂の活躍を見せた光莉だが、企業経営やら最近の世界情勢の話やらはちんぷんかんぷんだった。その場の空気を壊さないよう愛想笑いを浮かべるので精一杯だ。

(私にもわかるような話題はないのかな……?)

 すると、光莉同様、男性陣の会話には興味がなさそうにしていた安西夫人がたった今思い出したかのように尋ねてきた。

「ねえ、出水さん……だったかしら?貴女達、プレー中になにか叫んでいたじゃない?トルテ?あれはなんの単語なの?」

 安西夫人の方からサインの話を振ってくれたのはラッキーだった。光莉は意気揚々と答えた。

「はい!プレー中に使うサインはすべてTAKIZAWAオリジナルのインテリアシリーズの名前を使っていました。『トルテ』は子供向けのインテリアシリーズです」

 トルテはTAKIZAWAの中でも上位を争う販売数を誇る人気シリーズだ。

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