スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~

 光莉が先頭を歩き、ショールームの中を案内する。五階建てのビルを贅沢に丸ごと使ったこのショールームは数あるTAKIZAWAのショールームの中でも最大規模を誇る。
 光莉は一行を四階に案内した。

「『トルテ』シリーズはこちらになります」
「可愛い!」
 
 寧々は先ほどとは打って変わって目をキラキラと輝かせた。スイーツモチーフの学習机の他にも、おままごとセット、ドレッサーなど。子供がワクワクするようなインテリアの数々に囲まれると、おとぎの国のプリンセスになったような気分が味わえる。

「座ってみる?」
「うん!」

 寧々は一目散にショートケーキを模した学習机に走って行った。
 後を追う前にチラと背後に合図を送る。

「お孫さんが机を選んでいる間、よろしければこちらでお待ちください」

 ダブルスで鍛えた阿吽の呼吸で、瀧澤は安西会長を休憩スペースのソファに誘った。

「いいソファだな」
「学習机もそうですが、すべて国内工場で製造組み立てを行なっております。木材にもこだわりがありまして……」
 
 光莉が寧々と夫人で机を吟味している間に、安西会長にTAKIZAWAの家具の質の良さを感じてもらう。ここまでは作戦通りだった。

 寧々はトルテシリーズの学習机が気に入ったようで、ショートケーキとチョコミントのどちらにするかしばらく悩んだ結果、ショートケーキモチーフの学習机にすると宣言した。
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