スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~

「おじいちゃま!」
「机は決まったのか?」
「うん!あのショートケーキの机にする!すごいの!あのね!引き出しの中もお菓子でいっぱいなの!」

 寧々は祖父の膝上に乗っかると、今しがた自分が見たものを説明し始めた。一生懸命話そうとするけなげな様子に光莉までほわっと和んだ。

「装飾パーツは取り外しが可能ですので、成長してからも長く使うことができます。机本体のデザインも大人が使っても違和感のないものになっているんですよ」

 光莉は得意げに安西会長に説明した。
 装飾パーツを外すと、大人も使えるシンプルなホワイトのデスクに早変わり。トルテシリーズの学習机がロングセラーになっている理由だ。
 瀧澤が光莉に追随する。

「『使えば使うほど離れがたくなる』がTAKIZAWAのモットーです。上海の新ホテルにはTAKIZAWAの上質なインテリアこそ相応しいかと……」

 安西会長は口角を上げ、ニヤリと笑った。
 
「なるほどな。君達の言いたいことはよくわかった。確かにカタログと値段だけ眺めていても、分からんことばかりだな。ソファの座り心地も申し分ない」

 一流の企業人たる安西会長はTAKIZAWAのインテリアの素晴らしさを一目で見抜く慧眼を持っていた。
 良い物は良いと素直に認める度量もある。
 
「瀧澤くん、上海の新ホテルの件、先日は費用面で導入を見送ったがもう一度考え直してもいい。そちらの提示するプラン次第だ。近々、会社まで来たまえ」
「かしこまりました」

 光莉は心の中でよし!っと、ガッツポーズした。瀧澤には確実に追い風が吹いていた。
 安西会長御一行が帰っていくと、二人はともに顔を綻ばせプレー中と同じくハイタッチを交わしたのだった。

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