スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~
梅雨が明け、カラリと晴れた七月のある土曜日。
この日、光莉は元カレである斗真の結婚式の二次会に出席するため、朝から身支度に精を出していた。
普段は着ない一張羅のペールブルーのワンピースに袖を通し、髪はアイロンでゆるく巻いた後、ハーフアップにしてバレッタで留めた。
耳には姉からおさがりでもらったパールのイヤリング。靴はストラップ付のリボンパンプス。最後の仕上げにホワイトのクラッチバッグを抱える。
(うわ!もうこんな時間だ!)
家を出る予定時刻を十分ほど過ぎてしまい電車を乗り逃してしまった光莉は、足早で奈緒との待ち合わせ場所へと向かった。
「光莉〜!遅いよ!」
「ごめーん!思ったより時間がかかっちゃって!」
「帰りにコーヒーでも奢ってもらおうかな。ゴチになります!」
「こら!たかるな!」
待ち合わせに遅刻した光莉を奈緒は冗談めかして許したのだった。
二人が向かったのは、大使館などが多く建ち並ぶシックなエリアにあるレストランだ。普段はさまざまな国籍も人種も様々な人々がゆったりと夕食をとるこのレストランも今日は貸切だ。
入口には新郎新婦の名前がデコレーションされたウェルカムボード。幸せいっぱいの前撮り写真は笑顔に溢れていた。