スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~

 受付を済ませ、会場に足を踏み入れるとすぐに一際大柄の男性が駆け寄ってきた。
 
「久し振り!光莉、奈緒」
「うわ!徳光(とくみつ)くん!?久し振り!」

 大学卒業以来、なかなか会う機会もとれずにいたので、懐かしい顔ぶれが揃い踏みで同窓会のような和やかな雰囲気になる。

 光莉と奈緒が卒業した体育大学は普通の大学と比較すると特殊な環境だ。

 体育大学には普通の大学と同様、試験も課題もあるが、各々の部活動での遠征や大会が重なると授業に出られないこともしばしばだ。
 そのため、テストの時期には協力し合い、総出で対策するのが恒例行事になっていた。授業のノートを貸し合い、レポートを回し読みしていれば、自然と結束は固くなる。

「徳光くんは挙式と披露宴にも出席したんでしょ?どうだった?」
「あー……。凄かったよ。高砂でのイチャイチャぶりが」

 奈緒からの質問に遠慮がちに答えると、徳光はチラリと光莉の方を見た。気遣わしげな視線にニコリと笑みを返す。

「私のことは気にしないで、徳光くん」
  
 大学時代、光莉が斗真と付き合っていたことはあまり知られていない。
 しかし、斗真の友人であり、同じバレー部に所属している徳光は例外だ。
 元カレの結婚式の二次会に招待されるという屈辱的な状況に徳光も心を痛めているようだ。光莉が未婚で、決まった相手がいないとなれば尚更だ。
 そんなやりとりをしているうちに、二次会が始まった。
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