スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~
コース料理も終盤、宴もたけなわになりデザートのわらび餅を美味しくいただいていると、瀧澤が沈黙を破った。
「それでだ。約束していた報酬は何がいい?」
光莉は一瞬、何を言われているのかわからなくなった。
テニスを教えるのに必死だったせいか報酬のことなどすっかり忘れていた。
……どうしよう。何にするか全然考えていなかった。
「何でもいいぞ。贔屓のアイドルのコンサートチケット、人気のテーマパークの優先入場券、高級エステ。ジュエリーやバッグなんかはどうだ?女性はブランド物が好きだろう?」
瀧澤のこれまでの女性遍歴が垣間見えて苦笑する。
なるほど。瀧澤はこれまでそういったものを好む女性と付き合ってきたのか。
「そういうのは特に……」
生憎と光莉は青春時代をテニスに捧げていたせいか、趣味も少なく興味の幅も狭ければ、物欲も薄い。
どちらかと言えば、モノではないもの――女性としての揺るぎない自信が欲しい。
光莉は目の前の男性をつぶさに観察した。
お猪口を口に運ぶ仕草ひとつとっても品があり、視線が惹きつけられる。ほろ酔いの今は頬が紅潮していて、どこか色気すら感じさせた。
洗練された極上の男性を前にして、光莉はゴクリと生唾を飲んだ。