スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~

 翌日、光莉は指定された時間にトワイライトホテルのティーラウンジにいた。
 こうしてソファに座っている今でも現実感がなく、頼んだアイスティーには一切口がつけられないでいた。

 今日は一日心ここにあらずの状態で仕事が手につかなかった。元気が取り柄の光莉が大人しいので柳瀬からも「体調が悪いの?」と心配されてしまった。体調はすこぶる良い。心臓が元気にドクドクと脈打っていることがわかるくらいだ。

(遅いな……)

 スマホで時刻を確認すると既に約束の時刻を五分ほど過ぎていた。
 社会人の模範のような瀧澤が遅刻をするなんて珍しい。
 そのまましばらく待ってみたが、七時ニ十分になっても待ち人は現れなかった。

(馬鹿だな……。私……)

 すっぽかされたという事実に落胆よりも、愚かな自分への嘲笑が先にやってくる。
 なにもしなくたって女性が次から次へと寄ってくる瀧澤がわざわざ光莉なんぞを抱くはずがない。
 冷静になって考えればわかることなのに、淡い期待を抱いてしまった。本当に馬鹿な自分に嫌気がさしてくる。

< 62 / 198 >

この作品をシェア

pagetop