スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~
回想を終えた久志は未だ夢の中にいる光莉の滑らかな頬をスリスリと指で撫でた。
久し振りの行為だっただろうに、随分と無理をさせてしまった。
光莉が目覚める気配はない。しかし、それでいい。もしも行かないでと言われてしまったら、この場にいつまでも留まりたくなってしまう。
名残惜しいが、そろそろ行かなければならない。
久志は光莉を起こさないように、細心の注意を払いながらベッドから抜け出した。
クローゼットから、ハンガーにかけたシャツとジャケットを取り出し、身につけていく。
光莉には黙っていたが、これから上海の新ホテルの視察のため、現地まで行かなければならない。
移動の邪魔になるスーツケースは既に空港まで送ってある。
「行ってくる」
久志は最後に光莉の寝顔を確かめると、スイートルームを後にした。