スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~
予定通り上海行きの飛行機に搭乗した久志は、五時間後には上海国際空港の到着ロビーに降り立っていた。
旧字のいり混じった漢字の羅列に異国の情緒をまざまざと感じる。空港は様々な外国人で溢れ、活気があった。
「瀧澤さん、お久し振りです!」
到着したばかりの久志を、出迎えたのは遊佐朝人だった。特徴的な垂れ目と、緩いパーマをセンター分けにした流行の髪型は、一見すると軽薄な印象を与えるが、仕事ぶりは久志も認めるほど堅実だ。
「悪いな、遊佐。わざわざシンガポールから来てもらって」
「上海も割とくるんで、全然構いませんよ。タクシー呼んであります」
海外事業部所属の遊佐は半年前にシンガポールへ転勤したばかりだった。アジア方面への販路拡大に伴い、シンガポールに駐在員として派遣された。
上海の新ホテルについても、現地で指揮を執ってもらう予定だ。
遊佐の他にも日本のTAKIZAWA本社の各部署から集めた精鋭達数人が上海に集結する。
タクシーに乗り、ホテルにスーツケースを預けると、早速例の新ホテルへと向かう。