スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~
上海いちの繁華街から徒歩で行ける距離ということもあり、ホテルの周囲は人通りも多く、観光客の姿だけでなく地元の買い物客も多く見られた。
一行は入場手続きを済ませると、ヘルメットを被り建設途中のホテルの中に足を踏み入れた。
建屋そのものは完成しているようだが、内装工事はまだ終わっていないのか、そこかしこに脚立や足場が組まれ、作業着の業者が闊歩している。
「瀧澤くん!よく来たな!」
「安西会長、お時間を頂きありがとうございます」
久志達を歓迎する安西に遊佐と他のメンバーの紹介を終えると、その後は安西自ら目玉となるフロアを案内してもらう。
四十階建ての新ホテルはサンライズグループが保有するホテルの中で最大規模となる。
日本国内で何軒もホテルを経営してきたサンライズグループのノウハウを結集させ、「日本流のおもてなし」を追求するというコンセプトだ。
予算面ではかなり交渉が難航したが、最終的にTAKIZAWAのインテリアが採用されたのは、コンセプトとの相性の良さからだった。
「ここはバンケットルーム、あちらは和洋折衷の特別ルームになる予定だ」
「かなり広いですね」
久志は頷くと遊佐に外観を含めた写真を撮るように指示をした。
図面で見る場合と、実際にこの目で見た印象はガラリと変わってくる。エキゾチックで近代的な街の風景と合わさると、事前に固めてきたプランのままでは違和感がある箇所も多い。