スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~
「オープンは半年後だ。間に合うかね?」
「お任せください」
今回は専属のプランナーも連れてきている。TAKIZAWAには空間デザインを専門とした部署があり、インテリアコーディネーターの資格を持つ者たちが大勢所属している。彼等はすべからくTAKIZAWAのインテリアの特長を熟知している。
今回も最適な空間を演出してくれるはずだ。
久志たちは建設途中の新ホテルから宿泊地であるホテルに戻ると、早速プラン案を練り直した。
上海滞在中に、安西へのプレゼンを控えているからだ。
おおよそのプラン案に現場で見た変更点を加えていく。
上海という街の空気感、熱気、そして日本に対する親近感を織り交ぜながら、最適なプランを模索する。
プランを練り直す最中、流行を調べるために街にも繰り出した。食べ物、ファッション、歌、映画。ありとあらゆる娯楽の中に、次のトレンドが見えてくる。今回の新ホテルにもトレンドの要素を取り入れたい。
プレゼンの準備を行う一方、久志は安西に紹介してもらった地元の有力者との会食にも赴いた。千人の社員を率いる企業の役員として、情報収集はいつ何時も欠かせない。
上海にいる間の日々は目まぐるしく過ぎていった。
予定していた十日間の出張があっという間に終わっていく。