スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~
「結構なハードスケジュールでしたね」
「そうだな」
怒涛の日々を振り返りながら、遊佐が大きな伸びをする。
帰国日の前日、半日だけオフが作れたため、久志は遊佐と電車で二駅の場所にある屋台街へと繰り出した。
遊佐がSNSで話題になっている屋台の饅頭を食べに行くというので同行することにしたのだ。遊佐のフットワークの軽さは久志もたびたび見習いたいと思っている。
安西へのプレゼンも無事に終わり、二人は束の間の解放感で満たされていた。
出張期間の殆どをホテルで缶詰めになって過ごしていたため、屋台の饅頭は唯一上海に来たのだと実感が持てるような食事であった。
屋台街からホテルに帰る道すがら、久志はあるコスメショップの前で足が止まった。
「瀧澤さん?」
「少し、寄ってもいいか?」
そう言うと、遊佐もコスメショップに目を向けた。特徴的なレッドローズのブランドロゴを見て、ピンときたらしい。