スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~
「ああ、この『Roseria』っていうコスメブランド、シンガポールでもバズってますよ。確か日本にはまだ上陸してないはずです。それも時間の問題だと思いますね」
遊佐の話によるとこのコスメブランドは上海発祥で、若い女性の間で流行しているらしい。それを証明するように店内は多くの女性で賑わっていた。
久志は棚に陳列されていたルージュをひとつ手に取った。
「お土産ですか?」
「ああ」
メイクには詳しくないが、透明感のあるローズルージュは光莉に似合いそうだと思った。
あのぷっくりとした唇にこのルージュをつけたら、何時間でも眺めていられそうだ。
久志は女性ばかりのレジ行列に並び、ルージュを購入した。
「珍しいですね。瀧澤さんが女性にお土産なんて」
「私にだってそういう気分の時はあるさ」
遊佐に珍しいと指摘された久志は、動揺を隠すのに必死だった。