スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~
『君は綺麗だ。もっと自信を持っていい』
目に見えるような劇的な変化が起こったわけではない。
あくまでも日常の延長線を走っているだけなのに、光莉の中では確かに何かが変わっていた。
引きずっていた鉛玉がなくなって初めて、自分に足枷があったことに気がつくことができた。
心が羽のように軽く、身体の隅々まで血が巡っているような感覚がする。
(瀧澤専務にお願いして正解だったな……。お礼が言えればいいんだけど……)
光莉から会いたいと願い出るのはおこがましい気がした。
サンライズグループとの契約が締結されてから……いや、締結される前から瀧澤は多忙を極めていた。
一緒にテニスをしていたのが特殊な状況だっただけ。
あの夜のことは大切な思い出として、大事に胸の奥にしまっておくべきだろう。
ダイヤモンドのようにキラキラ輝く宝物を、たまにひとりで眺めて楽しむくらいは許されるよね?
そんな風に割り切ろうとした光莉が瀧澤に呼び出されたのは、更に一週間後のことだった。