スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~

「悪いんだが、君が窓口になって参加者を集めてくれないか?」
「瀧澤専務は参加されるんですか?」
「安西会長からの直々のお誘いだ。私が参加しないわけにはいかないだろう?もちろん、君もだ」

 実施要項にはダブルスのみのエントリーと記載されている。瀧澤が出場するなら、ダブルスを組む相手は光莉しかいない。

(ですよねー)

 一度は終わったと思っていた接待テニスにタイブレークがあるとは。安西会長のテニス好きはとどまるところを知らないらしい。

「詳細は後ほどメールしておく。話は以上だ」
「わかりました」

 光莉はお辞儀をすると執務室から退室した。
 呼び出された理由が業務連絡で正直ホッとしている自分がいる。
 瀧澤はあの夜のことなど、おくびにも出さない。
 光莉も託された使命をまっとうすればいい。

(この実施要項を食堂に掲示して……。あとは総務部経由で全社員に流せばいいかな?)

 コンペは一ヶ月後だ。光莉もコンペに向けて身体を仕上げなければならない。

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