スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~
テニスコンペの当日は朝から気温が二十五度を上回り、予報では日中は三十度を超える真夏日になった。
雲もなく、風は微風。遮蔽物もない屋外テニスコートの体感温度はそれ以上になる。
(うわ、見事に女性ばっかり……)
運営のテント前に集合したTAKIZAWAの社員からエントリーシートを回収していた光莉は、瀧澤の影響力を改めて実感した。
瀧澤効果なのか、社内からの参加者十組中八組が女性同士のペアだった。
皆一様にウェアを着た瀧澤に熱い眼差しを向けている。コンペのルールを尋ねる振りをして、瀧澤に話しかける大胆な女性もいた。
あれは確か社内いちの美人と名高い、瀧澤の秘書も務めている中野恭子だ。顔が小さく目鼻がくっきりとした目立つ顔立ちで、大学生の頃はテレビ番組にも出演してタレントのようなことをしていたと聞いている。
お似合いの二人を見て、なぜか胸がざわついて落ち着かなくなる。
(おかしいな……?調子は悪くないはずなんだけど)
突如訪れた心臓の異変に違和感を覚えながらも、テニスコンペの幕が上がっていく。
主催者挨拶や注意事項が述べられた開会式が拍手で締められ終了すると、参加者達は準備のために方々に散らばっていった。