スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~
「……君がテニス競技で国体を優勝しているという話は本当かな?」
「え?テニス?」
光莉はしばしポカンと口を開けたまま呆けてしまった。
(クビ……じゃない……?)
身体から一気に力が抜けていくのを感じた。しかし、いつまでも腑抜けている場合ではない。
「えっと、はい……!大学三年生の時の話になりますけど……」
光莉はテニス好きの両親の影響で小学生の時からテニススクールに通っており、中学、高校では全国でも強豪と呼ばれる硬式テニス部のある学校に進学した。その後は全国大会での実績を買われ、体育大学に推薦入学。大学では三年生の時にダブルスで国体とインカレを制覇している。
「そうか。人事部長の話は事実のようで安心した」
光莉の大会実績を確認すると、瀧澤は安堵のため息をついた。
光莉はすっかり置いてけぼりを食らっていた。
瀧澤は表情を元に戻すとようやく本題に入った。
「君のテニスの腕を見込んでぜひ頼みたい。私にテニスを手ほどきしてもらえないか?」
光莉は軽く首を傾げた。
「どうして瀧澤専務にテニスを?」
そう尋ねると瀧澤はテニスの手ほどきが必要な理由を説明し始めた。