スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~

「出水さん、ご結婚は?お付き合いしている方はいるのかしら?」
「私は独身ですし、お付き合いしている人もいません。これから見つけたいなとは思っているんですけど……。お二人のようにはとてもとても」

 以前なら、彼氏はいらないと断言しているところだが、今は少し考えが変わった。
 恋愛に前向きになれているのは瀧澤のおかげだ。

「あら、そうなの?出水さん、とっても可愛らしいのに」
「おーい!出水さん!こっちのコートが空いてるよ!」
「はい!今行きます!」

 安西会長が着替えから戻ってきたので、安西夫人に会釈してその場を離れる。
 安西会長と二十分ほど空きコートでラリーをして上手く切り替えができたのか、その後は試合は順調に勝ち進み、瀧澤と光莉は準決勝まで駒を進めた。

(ベスト4か……なかなか手強そう)

 相手は安西会長が率いるサンライズホテルグループのエースペアだ。これまで3ゲームしか落としていない強者だ。
 試合は一進一退の攻防が続き、ラリーが何往復も続く。
 ゲームカウントが4-4となった時に、光莉に突如異変が訪れた。

(あ、れ……変だな……)

 ひたすらボールを追っていた光莉の足が急に止まる。
 目が霞んでボールが見えなくなり、打ち返すことができなかったのだ。
 リストバンドで額の汗を拭い、瞬きを繰り返したが、目の霞みがおさまらない。

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