スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~
「おはようございます、瀧澤専務」
「おはよう、出水さん」
翌週の土曜日の早朝、祖父の椅子を修理しに行くため、瀧澤は光莉のアパートまで迎えに来てくれた。今日はいつもの高級セダンではなくミニバンを運転している。
後部座席に祖父の椅子を乗せると、アパートを出発していく。
「体調はどうだ?」
「はい!すっかり直りました!」
「それはよかった」
ミニバンは一路、高速道路を西に向かった。
(本当に直るのかなあ……)
瀧澤の言葉を疑うわけではないが、祖父の椅子はかなり酷い状態だった。光莉自身も何度か修理を試みたが、結局直す術が見つからず断念した。
ミニバンは山林ばかりのインターチェンジで高速道路を降りた。更に一般道を一時間ほど走ると、長閑な田舎の風景が目の前に広がっていく。
ミニバンは県道を離れ、舗装されていない林道を走り始めた。
「ここですか?」
林道の終着点にはポツンと大きな倉庫と一軒家が建っていた。小高い山の上とあって、見晴らしが抜群だった。