スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~
「せっかく来たんだから自分で直してみる?難しいところは手伝うからさ」
「いいんですか!?」
倉庫の裏には作業小屋があり、削りたての木材の爽やかな匂いが充満していた。
光莉はツナギを貸してもらい、比呂人指導の元、修復作業を手伝わせてもらった。
座面のパーツは比呂人に交換してもらい、欠けや塗装の剥がれを一緒に直していく。
その間、瀧澤は二人の作業を遠巻きに眺めていた。
昼過ぎから始めた作業が終わったのは、日が傾きかけた夕方のことだった。
「あとは塗料が乾いたら完成だから、今度取りに来てよ」
「ありがとうございました!」
比呂人に頭を下げお礼を言うと、瀧澤と光莉はミニバンに乗りこんだ。
自分の手で椅子を修理できたという達成感で心が満たされている。それもこれも瀧澤のおかげだ。
「私、家具修理サービスがあるなんて知りませんでした」
「ショールームだけで告知しているサービスだからな。法人営業部の君が知らないのも無理はない」
知っていたらもっと早く椅子を直すことができたのに。