出会ったのは間違いでした 〜御曹司と始める偽りのエンゲージメント〜
(えっ?)
驚いて声も出せないまま、実乃莉は隣に寄り添うように並ぶ相手を見上げた。こうやって並ぶとよりその身長の高さを実感する。
実乃莉は一六二センチあり背が低いほうではないし、今はかなり高さのあるヒールを履いている。それでもこの人はまだ十五センチは目線が上だった。
「なんだね君は?」
その迫力に圧倒されたのか、実乃莉に取っていた尊大な態度を軟化させて相手は問いかけた。
「彼女とお付き合いしている皆上 龍と申します。あ、龍は坂本龍馬の龍ね。以後お見知り置きを。"高木さん"」
「なぜ僕の名前を……」
高木さんと呼ばれた男はそこで一旦考え込んでいる。そして苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。
「皆上? まさか、皆上先生の……」
龍は高木とは対照的に笑顔を浮かべると話し出す。
「えぇ。その皆上先生とやらの不肖の次男です」
実乃莉は口を開けたまま龍を見上げていた。たまたま居合わせたのが、祖父と、そして高木が仕える斎藤と同じ派閥の議員の息子だったなんて……と驚くしかなかった。
「で、では本当にこの人は鷹柳のお嬢さんなのか?」
「ええ、もちろん」
龍は満面の笑みを浮かべて高木に返している。高木は悔しそうにしながら続けた。
「しかし、お二人がお付き合いしているとは聞いてなかったが? 鷹柳先生はぜひ僕にとおっしゃっていた」
「すみませんね。まだ報告できてなかったものでご足労をおかけして。そう言うことなので今日はお帰り願えますか?」
棘のある言いように高木はカチンときたのか眉をピクリと動かす。だが先ほどのように声を荒げることなく立ち上がると実乃莉を睨みつけた。
驚いて声も出せないまま、実乃莉は隣に寄り添うように並ぶ相手を見上げた。こうやって並ぶとよりその身長の高さを実感する。
実乃莉は一六二センチあり背が低いほうではないし、今はかなり高さのあるヒールを履いている。それでもこの人はまだ十五センチは目線が上だった。
「なんだね君は?」
その迫力に圧倒されたのか、実乃莉に取っていた尊大な態度を軟化させて相手は問いかけた。
「彼女とお付き合いしている皆上 龍と申します。あ、龍は坂本龍馬の龍ね。以後お見知り置きを。"高木さん"」
「なぜ僕の名前を……」
高木さんと呼ばれた男はそこで一旦考え込んでいる。そして苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。
「皆上? まさか、皆上先生の……」
龍は高木とは対照的に笑顔を浮かべると話し出す。
「えぇ。その皆上先生とやらの不肖の次男です」
実乃莉は口を開けたまま龍を見上げていた。たまたま居合わせたのが、祖父と、そして高木が仕える斎藤と同じ派閥の議員の息子だったなんて……と驚くしかなかった。
「で、では本当にこの人は鷹柳のお嬢さんなのか?」
「ええ、もちろん」
龍は満面の笑みを浮かべて高木に返している。高木は悔しそうにしながら続けた。
「しかし、お二人がお付き合いしているとは聞いてなかったが? 鷹柳先生はぜひ僕にとおっしゃっていた」
「すみませんね。まだ報告できてなかったものでご足労をおかけして。そう言うことなので今日はお帰り願えますか?」
棘のある言いように高木はカチンときたのか眉をピクリと動かす。だが先ほどのように声を荒げることなく立ち上がると実乃莉を睨みつけた。