愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
(あぶない! これは危なかった。ちゃんと踏み止まれた私、偉い!)

 踏み止まったところで、結局はローズマリーに押し通される未来しかない。
 だが、流れるままに請け負ってしまうのは、なんだか癪だった。一矢報いるつもりも、はなからないのだが。

 金色の長い髪を深紅のリボンで束ね、男性用のジャケットに細身のパンツを合わせた格好。
 細身ながら無駄のない体躯は、綺麗系王子様に憧れる女子ならうっとりすること間違いなし。
 晴れ渡る空のような青い目がついた顔は、爽やかの一言に尽きた。

 彼──いや彼女は間違いなく、ニゲラルートにおける悪役令嬢、サントリナその人だ。

「すまない。自己紹介がまだだったね。ボクの名前はサントリナ。サントリナ・ローエンだ」

「……わ、私は、ペリウィンクル、です。ローズマリー様の専属庭師をしております」

「どうぞよろしく、ペリウィンクルさん」

「……よろしくお願いします?」
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