愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
(人の姿をした妖精が綺麗なのって、整った顔が一番楽だからって言っていたっけ)

 味のある顔を作るのは、コストがかかるらしい。
 不細工を作るのは難しいことなのだと、ずっと昔にヴィアベルが言っていたのを聞いたことがある。

(いや、今はそれよりも……)

 あまりの怖さについ、現実逃避をしてしまったらしい。
 ただ静かに様子を窺っているらしいヴィアベルに、ペリウィンクルはどうしたものかと思案する。

 あるかなしかの笑みを浮かべて、目に揶揄うような色を滲ませているのが、通常のヴィアベルだ。
 だというのに、今日の彼はらしくもなく苛ついているらしい。
 たちの悪いいたずらを仕掛けてきたのも、そのせいに違いない。

(そうじゃなきゃ、ヴィアベルがあんな声を出すわけがないもの)

 あんな声、とうっかり思い出してしまい、ペリウィンクルの頬が赤らむ。
 だが、ガラス玉のような目に映っていた、情けない自分の表情が目に入り、すぐさま冷静さを取り戻した。
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