愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
(大丈夫よ、ヴィアベル。あなたが思っている以上に、私はまだまだ子供だから)

 前世では片手で数えられるくらいは恋愛をしたが、社畜になってからは浮いた話の一つもなく。
 今世ではまったりスローライフに重きを置くあまり、庭師の資格を得ることに夢中で、恋なんて頭になかった。
 世間的には大人の年齢で、ヴィアベルから親離れしようとしているが、恋愛面においては子供以下かもしれない。

 そういえば「ヴィアベルのお嫁さんになる」なんて言っていた頃もあったが、まさか本気にはしていないだろう。
 いくら彼が妖精だろうと、子どもの発言がどれほど有効なのかくらいはわかるはず。

 無事に親離れできたとしても、しばらくはヴィアベルが恋しくなりそうだ。
 その穴埋めに、恋をするのも良いかもしれない。

 とはいえ、今はヴィアベルの誤解を解くことが先である。
 うっかりサントリナに恋をしているなどと誤解されたままでいたら、ヴィアベルは何をするかわかったものではない。

 ヴィアベルは、八百屋がおまけしてくれないくらいで自分のテリトリーに住めと言ってくるような、過保護な妖精なのだ。
 大事なペリウィンクルのためならば、何をしてもおかしくない。
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