愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
(たぶんこの予想は、自惚れなんかじゃないはず)

 ヴィアベルには聞こえないようこっそりと心の中で「面倒な……」と呟きながら、ペリウィンクルは小さなため息を吐いた。

 次のターゲットがサントリナである以上、接触は避けられないだろう。
 シナモンとセリの時のように妖精王の茶会を利用するならば、ヴィアベルと距離を置くわけにもいかない。

 そもそも、誤解するようなことは何もないのだ。
 好きな人なんていないし、好きだと言ってくれるような人もいない。
 サントリナに動揺したのは、経験値の問題だ。気持ちの問題ではない、はず。

「サントリナ様は女性よ?」

「知っている。だが、女を好きになることもあるだろう」

「まぁ、そうだけど。少なくとも私は、サントリナ様をそういう目で見ていないわ」
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