愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
 ローズマリーは幼い頃から、ソレルとの結婚を約束されている。
 子供らしい遊びをする暇があったら妃教育を受けろと、前世と同じように多忙な日々を送ってきたのだろう。

(今の彼女がゲームと違って子ブタちゃんなのは、転生者だからなのかもなぁ)

 無意識下に、ストレスの吐け口を食欲に求めていたに違いない。
 社畜として前世を終えて、今世でなお多忙を極めるなんてどんな地獄だと、ペリウィンクルは哀れみに満ちた目でローズマリーを見た。

 ローズマリーはふくよかな体を揺らし、ドスドスと足を踏み鳴らしていた。
 やおらポケットからビスケットを取り出すと、ムシャムシャと食べ出す。
 三枚ほど完食すると、大仰なため息を吐いてベッドへ横になってしまった。

(ひえぇ……ちょっとどうなの、これ……)

 わからなくもないが、ペリウィンクルは残念で仕方がない。
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