愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
「……」

 黙って観察しているペリウィンクルに、はしゃいでいたウサギがはたと我に返る。
 手をふっくらとした頰に当てながら、「このようにはしゃいでお恥ずかしい……」と長い耳を垂れさせた。

(ぐぬぅぅ! かわいすぎやしませんか! ねぇ⁉︎)

 ペリウィンクルは心の中で叫んだ。

「それで……その特別な栄養剤は譲ってもらえるのでしょうか?」

 おずおずと問いかけてくるウサギに、ペリウィンクルの興奮も少し落ち着いたようだ。
 どこか探るような目で見てくるペリウィンクルに、ウサギは息をひそめて答えを待つ。

(このウサギがヒロインと契約した妖精なら。わたしの大事な花っていうのは、ヒロインの箱庭の花ってことよね、たぶん。うーん……駄目元で言ってみようか? 言うだけなら、タダだし)
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