愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
 かわいいウサギを騙すようで忍びない。
 だけど、もしもこのウサギがスヴェートならば、絶好の機会だ。
 ペリウィンクルはウサギの視線に目を合わせるようにしゃがみ込むと、ヒクヒクしている鼻を見つめながら言った。

「ねぇ、ウサギさん」

「はいっ! なんでしょうか、ペリウィンクル様!」

「栄養剤を譲ったら、あなたは代わりに何かくれるの? 譲るのは構わないけれど、対価がほしいわ」

 まるで悪徳商人のようだ。
 我ながら酷いことを言っていると思いながらペリウィンクルが待っていると、ウサギはプルプル震えながら「もちろんですっ」と答えた。

「対価に何をご用意すればよろしいですか?」

「何でもいいの?」

「わたしに叶えられることならば、何なりと!」
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