愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
 確かそんな小説があったはずだと言えば、ローズマリーは途端に目を輝かせた。

「なにそれ。最高じゃない!」

 ローズマリーは走り寄り、ペリウィンクルをガシッと抱き締める。

「こうなったら、一蓮托生よ。わたくしが無事に婚約破棄されて新しい人生を送れるようになるまで、付き合ってよね!」

「んえぇ⁉︎」

「なによ、文句なんて言わせないわ。だってあなたが言ったのよ? 言い出した人が真っ先に逃げるなんて許されないわ!」

 ズビシ、とローズマリーは仁王立ちでペリウィンクルを指さした。
 ふくよかな彼女の頰がポヨンと揺れる。
 ペリウィンクルはたまらず、

「ローズマリー様。ゲームスタートである入学までに、まずはダイエット、しましょうか」

 このままでは、第二の人生を送る前に糖尿病になってしまう。
 健やかな隠居生活に、健康な体は必要不可欠なのだ。
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