愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
 おそらく、ペリウィンクルがヴィアベルにお願いすれば、彼は二つ返事で用意してくれるだろう。対価を受け取ることなく「私とおまえの仲だろう?」と言って。
 だが、それではいけないのだ。
 いつまで経っても、おんぶに抱っこ。このままでは、ペリウィンクルは一生独身の上、老後の介護はヴィアベルが、なんて展開になりかねない。

(そもそも、“私とおまえの仲”って何さ⁉︎)

 妖精は、何かを対価にしないと願いを叶えない。
 それをペリウィンクルに教えたのは、他でもないヴィアベル本人である。
 水やりの妖精にミルクを与えるように、妖精王の茶会を手配させたヴィアベルに与えたのは何だったのか。

 身内割引にしては、過ぎた内容だ。
 やはり、何か対価がないと納得がいかない。

 もしや、知らないうちに何かを対価にしていたのだろうか。
 そう思っていろいろ考えてみても、思い当たる節はない。
 あえて挙げるとするならば、ペリウィンクルが中央の国へ来てから、彼の態度にささやかな変化があったことくらいだろうか。
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