愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
(どういう名前が良いかしら……?)

 考えているうちに、目的地である鍛錬場へ着いてしまったらしい。
 この鍛錬場は今、サントリナとニゲラが借りている時間だ。
 終了時間まで残りわずか。着替えの時間などを鑑みたら、ちょうど良い時間のはず。
 ペリウィンクルは気持ちを切り替えるように深呼吸してから、物陰に隠れた。

 二人はちょうど、鍛錬を終えたところのようだ。
 それぞれベンチへ腰掛けて、汗を拭っている。
 サントリナを見れば、相変わらず勇気が出せないらしく、カバンを抱えて迷子のような顔でニゲラを見つめていた。

(ああ、もう)

 じれったくて仕方がない。
 見た目は王子様なのに、中身はとんでもなく内気。

(いや。好きだからこそ、かな)

 好きな人には嫌われたくないものだ。
 ましてや、一度失敗しているなら尚のこと。
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