愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
「こわいなぁ。そんなに怒らないでよ、ヴィアベル」

 ペリウィンクルは少しだけ顎を引いて上目遣いを心掛けながら、できる限りいつも通りの声で話しかけた。
 こんなこと、本当はしたくない。柄ではないから。
 しかし、ローズマリーがすると破壊的にかわいらしいので、ペリウィンクルに甘いヴィアベルなら、多少の効果はあると思ったのだ。

 目論見は当たり、冷気が少しだけ後退する。
 ペリウィンクルの上目遣いは、功を奏したらしい。

「怒る? そうではない。私は、悲しいのだ。他でもないおまえが、私を頼らなかったからな」

 いや、怒ってるじゃん。
 ペリウィンクルはその言葉を呑み込んだ。

 何度目だろう、このやりとりは。いい加減、ペリウィンクルだって嫌になってくる。
 それでも、これ以上ヘソを曲げられては困ったことにしかならないので、付き合うしかないのだが。
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