愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
 妖精たちは茶会が大好きだ。
 人間と契約する妖精は、人間がひらく茶会が目当てだったりもする。

 妖精の世界には存在しない、おいしいお菓子やお茶。それらは、契約しないと手に入らないものだから。
 そのため、契約者はおいしいお菓子の作り方とお茶の入れ方も学ぶらしい。

「茶会で成敗? お茶をぶっかけたりしていたの?」

「いや……あの女、妖精を殺そうとでも思っているのか、それとも授業をよくよく聞いていないのか、よりにもよってアコナイトで茶を入れようとしていてな。一体、どこから手に入れたのか……。ローズマリーが気付いて、手から叩き落としたのだ。それを、あの女は暴力反対だと喚いて……む。これではいじめにならないではないか」

「うん、そうだね。何なら、命の恩人じゃない」

 アコナイトは、根はもちろん葉や花びらにも毒がある、全株有毒の植物である。
 花粉にさえ毒性があり、お茶なんて言語道断なのだ。
 だが、鮮やかな色の花を咲かせるので園芸用に栽培されることも多く、手に入れるのは難しいことではない。
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